Archive for 5 月, 2010

ユーロ圏危機、「リーマンショックの再来」の連想呼び、株式暴落

水曜日, 5 月 26th, 2010

2010年5月25日(火)
 
週明けのNY株式は、欧州の金融危機に関する「恐怖」が支配し、大引けにかけて大きく値を下げ、ダウ平均は、先週金曜日に戻した125ポイントとほぼ同額の126.82 ポイント下げて、10066.57となった。
週末にスペインの地方銀行CajaSurを、中央銀行が接収したとのニュースが一気に欧州各国の財政破たんの連想をよび、ロンドンの銀行間貸借金利(LIBOR)がさらに上昇し、0.50969%となった。ユーロも金曜日の戻しを吐き出して、対ドルで4年ぶりの底値である1.2370まで下落した。
The New York Timesは、「この銀行の国有化は、それ自体は小さい問題だが、サブプライムローン問題に端を発したリーマンショックが小さい問題から、破局に進んだことを連想させているのだ」と解説している。
また、現在米国の金融改革法が、上下両院の個別案の可決後、調整案つくりの段階に達しており、すでに規制強化が確実視されている。しかし、「政治的駆け引き(horse trading)の結果、さらなる規制強化法案となってしまうのではないか」との懸念から、「規制強化が信用収縮につながるのでは」との不安心理を掻き立てている。
このように、市場では、「ファンダメンタルズの判断ではなく恐怖に駆られた動き」(out of fear and not any fundamentals)となり、リスク資産である通貨ユーロや株式から資金が引き揚げられ、比較的安全な米国国債へと流入している。
このあおりを受けたポンドも売り浴びせに遭っている。前労働党政権から引き継いだ巨額財政赤字を、新連立政権でも処理しきれないのではないかとの不安が市場を支配している。投機筋は、ポンドの下落に大きく張っていて、現在ポンドの空売り(short selling)は、買い持ち(long)の9倍に達している。
新政権は、「前政権が、選挙前に、(負けるとわかっていたので、新政権に付けを回すように)いわば焦土作戦(a scorched earth policy)に出て、各所で財政支出による支援を秘密裏に約束して回っていた」と暴露したことは、さらに市場に不安感をあおった。その結果ポンドは下げ(sterling negativity)を続けているとFinancial Timesが解説している。

欧州危機、米中対話、そして市場は「恐怖」に支配されている

火曜日, 5 月 25th, 2010

2010年5月25日(火)

週明けのNY株式は、欧州の金融危機に関する「恐怖」が支配し、大引けにかけて大きく値を下げ、ダウ平均は、先週金曜日に戻した125ポイントとほぼ同額の126.82 ポイント下げて、10066.57となった。
週末にスペインの地方銀行CajaSurを、中央銀行が接収したとのニュースが一気に欧州各国の財政破たんの連想をよび、ロンドンの銀行間貸借金利(LIBOR)がさらに上昇し、0.50969%となった。ユーロも金曜日の戻しを吐き出して、対ドルで4年ぶりの底値である1.2370まで下落した。
The New York Timesは、「この銀行の国有化は、それ自体は小さい問題だが、サブプライムローン問題に端を発したリーマンショックが小さい問題から、破局に進んだことを連想させているのだ」と解説している。
また、現在米国の金融改革法が、上下両院の個別案の可決後、調整案つくりの段階に達しており、すでに規制強化が確実視されている。しかし、「政治的駆け引き(horse trading)の結果、さらなる規制強化法案となってしまうのではないか」との懸念から、「規制強化が信用収縮につながるのでは」との不安心理を掻き立てている。
このように、市場では、「ファンダメンタルズの判断ではなく恐怖に駆られた動き」(out of fear and not any fundamentals)となり、リスク資産である通貨ユーロや株式から資金が引き揚げられ、比較的安全な米国国債へと流入している。
このあおりを受けたポンドも売り浴びせに遭っている。前労働党政権から引き継いだ巨額財政赤字を、新連立政権でも処理しきれないのではないかとの不安が市場を支配している。投機筋は、ポンドの下落に大きく張っていて、現在ポンドの空売り(short selling)は、買い持ち(long)の9倍に達している。
新政権は、「前政権が、選挙前に、(負けるとわかっていたので、新政権に付けを回すように)いわば焦土作戦(a scorched earth policy)に出て、各所で財政支出による支援を秘密裏に約束して回っていた」と暴露したことは、さらに市場に不安感をあおった。その結果ポンドは下げ(sterling negativity)を続けているとFinancial Timesが解説している。

2010年5月24日(月)

毎年恒例となった米中の「戦略と経済に関する対話」(U.S.-China Strategic and Economic Dialogue)が、クリントン国務長官とガイトナー財務長官が率いる200名に達する大規模な米国代表団が参加して、今日明日の両日北京で開催される。欧米のメディアは一斉にこの一大行事を取り上げている。
The Wall Street Journalは、「日本にたった4時間しか滞在せずに上海入りした」クリントン国務長官に焦点をあわせた政治的側面からの報道、The New York TimesとFinancial Timesはガイトナー財務長官に焦点を合わせた経済面からの報道を行っている。
もっとも注目されるのは、ガイトナー長官が、出発前に記者団に語った言葉である。その見出しは、「ガイトナー長官、対中姿勢軟化」(Geithner softens his stance on China)。「中国が最近内需拡大の努力をした結果、過度の輸出依存経済から転換していることを高く評価する」との発言を伝えている。
中国の経常収支の黒字幅は、2007年に対GNP比で11%であったが、昨年は内需喚起策の導入により輸入が急増して、その比は5.8%にまで収縮しているが、これを理由にして、米政府の対中姿勢を転換させた。人民元の切り上げが逆に米国経済に与える悪影響と、米国国債の最大の買い手である中国への配慮を優先したのである。
このように人民元切り上げに関する米国の従来の政策を軟化させ(soft pedal over the currency issue)、焦点を外国企業への一層の市場開放要求に移した。昨年から中国が取っている「政府調達に関する自国産業優先、外国企業を締め出し」政策(“indigenous innovation” rules)、いわゆる”Buy Chinese”の撤廃を強く打ち出すものとみられる。
いずれにせよ、今回の米国側の狙いは、経済政策で中国を追い詰めることを避け、対イラン・対北朝鮮問題での中国の協力を得ることに重点を置いている。
The New York Timesの見出しは、”U.S. Presses China to Punish North Korea for Ship”「米国、中国に北朝鮮制裁を求める」となっている。
対北朝鮮では、韓国軍艦の撃沈事件に対する非難に中国が同調することを求め、対イランでは同国に対する核兵器製造疑惑にまつわる国連制裁への賛成を求めている。クリントン長官が今回どれだけ中国側の一歩踏み出した同意を引き出せるかに注目が集まっている。
中国は、北朝鮮問題では「北朝鮮との歴史的関係」から単純に同調できない(”The historic ties between [...]

欧州危機、ダウ暴落の引き金に

火曜日, 5 月 25th, 2010

2010年5月21日(金)
ニューヨーク株式は、アジア・欧州の全面安の流れを受けて、昨年初め以来の下げで終了した。ダウ工業株30種平均は376ドル(3.6%)下落の10068.01ドルで引けたのを始め、S&P総合指数とNASDAQも大きく下げた。
この状況を、Washington Postは、「欧州の国家財政赤字と債務危機が、市場に重くのしかかり投資家をリスク資産から一斉に逃避(fleeing out of risky assets)」と報じている。
特に、ドイツの単独市場規制発表に続いて、欧州各国でも各種の規制強化(financial legislation)が実施されるのではとの懸念が強まり、さらには現在米国議会上院で審議中の金融規制法案によって銀行・証券会社の活動に大幅な規制が加えられる可能性が強まったため、金融株が大幅に下げている。
The Wall Street Journalは金融界の「市場のデータをどんなに分析しても、買い持ちのリスクを張ってもよいという理由はどこからも出てこない」(No matter how we slice all the chart data, there’s no reason for anyone to have any exposure to the long side of the stock market here)という意見を紹介している。
また、The New York Timesは、「欧州危機が米国市場を直撃(Europe’s Crisis Imperiling U.S.)」との見出しをつけ「世界中に不確実性の雲が覆っている。その不確実性が市場の不安定性の原因となっている」(There is a tremendous amount of global uncertainty and that uncertainty is breeding volatility)と、状況は全世界に及ぶ問題の反映と捕らえる意見に言及している。
そしてFinancial [...]

中国のインフレ懸念が現実化し始めた

木曜日, 5 月 13th, 2010

2010年5月13日(木)
ギリシャ危機は大規模なEUとIMFの支援発表によって、当面EU内での伝播が即座に起こることは食い止められたが、グローバル・シーンでは中国のインフレ懸念が鎌首を持ち上げ始めた。
4月の消費者物価指数は前年同月比2.8%上昇したが、これは過去18ヶ月で最大の上昇である。政府の今年の物価上昇目標値3%以内に入っているとはいえ徐々に過熱の様相を示し始めた。
銀行の新規貸し出しも単月で、11.3兆円に達しているし、不動産価格は前年同月比で12.8%の上昇となった。政府は不動産投機を抑制する政策をとっているので、不動産の売買高は減ったが逆に価格は押しあがっているのが現状である。
Financial Timesは、「賃金、穀類、野菜など何でも価格が高騰していて、今年のインフレ率は、5%以上になるであろう」との現地エコノミストの意見を紹介している。そのひとつの例は鋼材である。鋼材価格の急騰を受けて、鉄鋼会社は一斉に増産に走っていて、今年1-4月の粗鋼生産は、対前年比で27%も増えた。
インフレの先行きとして「今年後半はさらに高騰の可能性が高く、年央には反転すると見る政府の読みは甘い」としている。
また、The Wall Street Journalは北京発で「中国政府はこの事態にあっても、成長維持のために慎重姿勢を崩していない。過熱防止策として銀行の貸し出しに対する預金準備率の引き上げはおこなっているが、金利引き上げは、至上命題の二ケタ台の経済成長を阻害し、人民元の切り上げにつながるため当面行うことはない」と報道している。
金利はインフレ補正を行うと実質マイナスとなっているが、2008年12月から固定されたままである。インフレ懸念は、多少不動産投資が抑制されても、鉱工業生産が減速しても、そのリスクを消し去るものではないとのトーンで記事は結ばれている。

メキシコ湾岸事故で、深海油田の安全性に重大な疑問が生じた

木曜日, 5 月 13th, 2010

2010年5月13日(木)
 
4月21日に、ルイジアナ州沖66kmの洋上で深海底での原油掘削作業に従事していたオイルリグが爆発炎上し11人が死亡するという事故が発生したが、以来日量5000バレルの原油の海上への流出が続いている。
すでに流出した原油は300万バレルに達していて、土曜日には160km離れたアラバマ州のDauphin Islandに漂着し始めている。
今回の事故が、「未曾有の環境災害」になることを恐れたオバマ大統領以下関係閣僚は事故以来現地入りして、その関心の高さと真剣さをアピールしてきたが、検察当局も動き出した。
Eric Holder検事総長は、「司法省係官を現地に派遣し、沿岸警備隊と協議を開始させた。問題は今回の事故に関して過失(misfeasance)や、不法行為(malfeasance)がなかったかということだ」とコメントしたと、The Wall Street Journalが伝えている。
一方、油田の探査・掘削事業者であるBPは、事故発生以来懸命に流出防止策を講じてきたが、先週から行われた「巨大な鉄筋コンクリート製ドームを流出箇所の真上に降ろし流出を一時貯留し、上部の開口部から原油を抜き取っていく」という試みは失敗に終わった。
この作業は約1500メートルの深海底で行われているが、このドーム方式がこのような深いところで行われるのははじめてで、メタンガスが原因のドームの開口部の詰りという思わぬ障害に遭遇している。ドームの上部は、漏斗をさかさまにした形になっている。
もともと原油に含まれたメタンガスが急膨張してシールを突き破ったのが4月21日の爆発の直接原因と推定されているが、今回は、BPが油井に対して噴出を阻止するために投入したコンクリートが固まるときに発した熱が、メタンを気化させてしまった。
メタンガスは、深海の高圧下では海水と反応してシャーベット状の「メタンハイドレート」(icelike hydrates, a slushy mixture of gas and water)となるのは広く知られている事実であるが、これが上部開口部の内部に付着して詰りを起こしたと、BP側が説明している。このシャーベット化(Deep-Sea Ice Crystals)を防止するために凍結防止剤としてメタノールの注入を考慮中であるとしている。
また、BPは次の一手として莫大な量のごみを海底の噴出孔めがけて投げ込んで流出を止めるという、”junk shot”(ゴミ攻撃)を考えている。
この事故を起こしたオイルリグDeepwater Horizon号は、スイスに本拠を置くTransocean Ltdが所有するもので、BP社がリースを受けている。Transocean社のホームページを見ると、事故状況はSECに報告済みであるので、そちらを参照するようにとすることと、事故保険は総額560億円が付保されているとの簡単なコメントが掲載されているのみである。
ある試算によると、油井一本あたりの費用を100億円、毎日の支出が10億円で180日続くとして、総額約2000億円程度、そしてこれに損害賠償を加えても3000億円程度ではないかとしている。過去の大規模原油流出事故での損失総額が2500億円レベルである。
しかし、今回原油流出防止に失敗したこと、流出規模が格段に大きいことを考えると、「未曾有の環境汚染」が「未曾有の損害賠償」の危険が現実化しつつあるとの懸念が強まってきた。
米国政府、湾岸各州、沿岸警備隊などが協力して、環境汚染対策を行っているが、すでに総延長200kmに達するオイルフェンス(booms)が張られたが、沿岸警備隊は、最終的に10万kmのオイルフェンスを設置できるよう準備しているとしている。そのような量のオイルフェンスが果たして確保できるかどうかがまず問題となっている。

「ギリシャ危機」救済措置は、「ユーロ危機」の解決にはならない

木曜日, 5 月 13th, 2010

2010年5月11日(火)
EU財務相理事会は月曜日、ギリシャ債務危機の波及を防ぐため、IMFと協調して最大で7500億ユーロの緊急措置を実施することで合意し、EU体制の存続の危機に対して異色の団結心(the extraordinary show of solidarity)を内外に示した。
株式市場はこの巨額支援に直ちに反応して、ダウ工業株30種は404.71ドル高の10785.14ドル、NASDAQ総合指数は109.03ポイント高の2374.67、S&P総合500種は48.85ポイント高の1159.73となった。
これは、米政府が銀行からの不良資産買い取り計画(TARP)を発表した昨年3月23日以来の大幅な上げである。
The Wall Street Journalなどほとんどのメディアは、手放しでこの株式市場の反転上昇を報じているが、The New York Timesは、この100兆円に上る緊急支援策について、その永続的効果に対して疑問を呈している。
まず今回の支援策だけではギリシャを始めとする各国の財政赤字を本質的に解決するものではないと指摘している。単に財政危機に陥った国を、市場の厳しい裁断から隔離しただけではないのか、各国の政府首脳が国民に対して歳出削減、債務削減といった厳しい政治的選択を迫らずに済むようにしただけではないのかと批判している。
こうした冷静な判断は、市場が通貨ユーロが日中にジリ安になったこと、市中銀行間の貸借金利が高止まりしたことになって示されたといえる。Moody’s Investor Serviceが、「同国の経済先行きは暗い(dismal)」として、ギリシャ国債を投資不適格の「ジャンク債」へと格付けを落とすことを発表したのも同じ線上にある懸念表明である。
同紙はあるエコノミストの次のような直裁な指摘を掲載しているが、まさにこの言葉こそ「王様は裸だ」と寓話の名言に匹敵する。
“Lending more money to already over-borrowed governments does not solve their problems,”「借金漬けの政府に、追い貸しをすることは解決にならない」。問題はユーロ通貨同盟のシステム

ゴールドマン刑事訴追か?株価急落

土曜日, 5 月 1st, 2010

2010年5月1日(土)
「ゴールドマン・サックスに対する刑事訴追(criminal charges)を連邦検察当局が検討している」と、木曜日夜The Wall Street Journal電子版が報道したことに反応して、同行の株価は金曜日NY証券株式市場で9.4%の下げを記録した。この結果同行の株式時価総額(its market capitalization)から約8000億円が一日で消し飛んだ。
去る16日にSEC(米国証券取引委員会)が、同行を詐欺の民事事件(civil suits)として提訴したが、さらに今週議会上院小委員会でCEO以下幹部社員が召還され、金融危機の引き金を引いたとして厳しい査問を受けた。
そして今週に入って新たに62人の下院議員が法務省に対し、捜査開始を要求する書簡を送っていることもあり、連邦検察当局が捜査を開始するのは当然の帰結といえる。
先週同行が、第一四半期決算で、昨年同期比で純益が倍増したとの発表も、同行へ米国や欧州において司直の厳しい目が向けられている事態を前に、先行き不安を払拭する力はなかった。16日の株価水準からすると同社の時価総額は2週間で約20%、2兆円相当が消滅したことになる。
The New York Timesは、検察当局の捜査報道を嫌気して「Standard & Poor’s が同社株に対するアナリストの投資判断を、Hold(保持)からSell(売り)に、またBank of America Merrill LynchがBuy(買い)からNeutral(中立)に落とした」ことを報じている。
問題の金融商品CDOは、ゴールドマンが組成した住宅ローンを担保とした仕組み金融商品Abacus 2007-AC1である。その仕組み過程に問題があったとするSECの訴因については、本欄ですでに取り上げてきたが、ゴールドマンは徹底抗戦の構えである。
同行が強気なのは破綻したBear Sterns証券での類似訴訟で検察が陪審員の判定に敗れたことが自信につながっているようだとNYTは分析している。
さて、日本のゴールデンウィークのころに、「投資の神様、オマハの預言者」ウォーレン・バッフェット氏が、「投資家のウッドストック」と呼ばれるBerkshire Hathaway社の株主総会を行うが、今年もまた今週末ネブラスカ州オマハに召集している。
同社は、ゴールドマンに総額5兆円の投資を行っている。上記の株価下落は投資資産の大きな目減りとなっているなか、4万人と予想される一般株主にどう説明するかが、大きな注目点である。バッフェットの対ゴールマン投資姿勢についての説明が、ゴールドマンの将来を決定付けるといっても過言ではない。